【承継事例】後継者は中学生!?
(情報保護の観点で一部脚色しています)
【登場人物】
太郎社長
一郎さん(太郎ご子息)
太郎社長は一代で今の会社を築き上げたカリスマ社長。しかし、カリスマ故に将来への悩みは尽きない。社内に後継者に相応しいと思う人がいないのだ。
太郎社長も60代を迎え、将来的には一人息子の一郎さんへ会社を承継したいと考えていた。しかし、一郎さんはまだ中学生。とても今から将来を決めるというのは、妻女の反対もあり、太郎社長の気持ちとは裏腹に対策は何も出来ていなかった。
「今は元気だけど、いつどうなるかわからない。将来のことについて何も対策しないのはまずい」
先見性にも優れた太郎社長は、会社の継続性を最優先に考えた時に、一郎さんが承継するとご自身が決断できるまでの方法を模索し、ご縁があり私と将来について話をすることになった。
話し合いの末、社長は「ファンドへの売却」という方向性を模索することとなる。ファンドというと、かつて「ハゲタカファンド」と呼ばれた印象もあり、世間のイメージは決して良いとは言えない。投資ファンドは、買い取った会社の企業価値を高め、上場又は別の形での株式売却により利益を得ることで事業が成り立つため、無理やり上場させようとしたり、会社の未来を考えず高く買ってくれる別のファンドに売却したりすることも確かにある。
ただ今回検討したファンドは、後継者へのバトンタッチを目的として、その中継ぎを担当する役回りを果たす。つまり、太郎社長→ファンド→一郎さん、という事業承継の形になるのだ。仮に一郎さんが別の道を歩むことになった場合は、別の売却先を模索する、という可能性も残した形である。
因みに、太郎社長は上記手続前にご自身に何かあった場合も鑑みて、個人の遺言も作成した。事業承継は法人だけの問題ではない。特に多くのオーナー企業においては、個人資産と両面で考えていくことが大切になる。
合同会社フクノネ
代表 和久津 亮
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