【承継事例】兄弟に株式分散!!

(情報保護の観点で一部脚色しています)

【登場人物】

太郎社長

次郎副社長(太郎弟)

三郎さん(太郎弟)

花子さん(太郎妹)

一郎さん(太郎ご子息)

 先々代から三代目となる太郎社長は60代。将来的にはご子息である一郎さんへ会社を承継したいと考えていました。しかし、先代社長が承継対策をされていなかったため、先代亡き今、会社の不動産や株式は太郎社長含め4兄弟で持ち合う形となっています。

 また、4兄弟はそれぞれ、先代から引き継いだ各関連会社の社長としてお互いの株式を持ち合う関係性にあり、本人たちですら自分たちがどのくらいの割合で株式を保有しているかわからない状況でした。4兄弟の仲は良好でしたが、皆これまで年齢的にも若かったため、次世代に向けて会社をどうしていくか、話し合ったことはありませんでした。

 私がそれぞれの兄弟から次世代の話を聞くようになったのは、4兄弟が皆60代を迎えた頃です。兄弟たちはお互いでは話し合うことはないものの、ぼんやりと各々で次世代について考える様になっていました。もし何もせずに誰かに何かがあった場合、自分たちの孫同士、つまり本人たちからすると従兄弟同士に今以上に複雑な資産を承継することになるからです。

 兄弟たちは太郎社長の意向を最優先と考えていたため、私と太郎社長との話し合いが始まりました。冒頭にもあるように、太郎社長は一郎さんへ会社を任せたいと考えていました。しかし、一郎さんはまだ学生で、親子同士でもそうした話はしたことがありませんでした。故に、太郎社長は「まだタイミングではない」と考え承継については何も動いてきていなかったのです。

 しかし、事業承継は「その時が来てから」準備しても遅いです。なぜなら会社にとって非常に重要な問題であり、一朝一夕で対策できるものではないからです。具体的に言うと、まず複雑に持ち合う会社の権利を整理する必要があります。この例でいうと「株式」です。株式会社は、社会福祉法人やNPO法人等とは違い、経営権である「株式」は財産と見做され自由にすぐ移動できるものではありません。何も考えずに行おうとすれば莫大な資金が必要になる可能性があります。

 太郎社長とは、数年掛かりで株式を整理し、将来的に一郎さんへ承継する最もスムーズに承継できるような設計図を税理士先生のご意見も頂きながら作成し、各兄弟とも共有しながら進めています。


 今回の例は、太郎社長はじめご兄弟が先代の承継でのご苦労を経験し、まだまだ現役であるお若いうちから次の世代について考えることができているからこその事例です。また、身近な人には改まって話し辛い、そこにたまたま私がいた、ということもあるかもしれません。まだ先の話でも、人にぶつけてみることでイメージできることもあるかもしれませんね。


合同会社フクノネ

代表 和久津 亮

福祉経営者が運営する福祉専門事業承継

保育・介護・障がいに特化した事業承継相談窓口。 事業承継に関するお役立ち情報も発信中。

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